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デニス・スアレス ~スター性抜群、新世代バルサの王子~

第三十四回
デニス・スアレス・フェルナンデス
1994/1/6 スペイン
181cm 72kg
FCバルセロナB所属
・2012 マンチェスター・シティ ヤングプレーヤー賞受賞
デニス・スアレス.png

今年の夏市場も終わりを迎え、
それぞれのクラブが補強や放出に一喜一憂し、
熱い夏が終わった。
そして、世界一のクラブFCバルセロナにも吉報が入った。
紛れも無いそれは、デニス・スアレスの正式な加入だ。
容姿端麗でプレーの数々が映える映える。
カリスマ性抜群で、利口そうな顔立ちは観る者を魅了してやまない。
長年追い続けてきたバルサの期待のスター候補と呼んで間違いないだろう。
セルタの下部組織時代、
まるでバルサカンテラ出身者のようなハッキリとしたボール捌き技術、
ボールを止める姿勢の美しさ、ドリブルの切れ味、
息を飲むようなFKの精度と軌道・・・。
「彼こそうちの哲学に最も近い選手だ」
憶測だがバルサのスカウトはそう確信したに違いない。
バルサは熱烈に交渉を続けてきたが、
横槍を入れてきた形となったマンチェスター・シティに大接戦の末競り負けてしまう。
悔しかっただろう。
間違いなく母国のスターに成り得る選手を海を越えた国の、
しかもマンチェスターシティに奪われるという事実は。

大人の事情に振り回されるスアレス少年だが、
当の本人は実に「大人」だった。
環境の変化に動じることなく、
英国に渡ると決まる前から、英語の勉強も始め、
勿論体づくりもしっかりと積んでいたという。
異国の地に渡ってからも、彼は必死にプレーを続けた。
事実、シティBの攻撃の中枢となり、シティBは世界屈指の強力リザーブチームと呼ばれた。
トップチームにも(対LAギャラクシーとの親善試合やカップ戦などに)何度か出場し、
彼の認知度は飛躍的に上がった。
そしてファン投票によって、彼は2012年の同クラブのヤングプレイヤー賞を受賞した。

↑ヤングプレイヤー賞受賞時。スペインのインタビューに対して。

スアレスは各年代のスペイン代表にも名を連ね、
U-19までの代表では毎年必ず得点を決めそのポテンシャルの高さを改めて示していった。

このままシティの選手としてクラックになってしまうのか・・・。

しかし、バルサは諦めなかった。
2年越しに交渉が実り、シティから1200万ユーロで獲得に成功した。
シティでは選手が充実していることを理由に、
スアレスに対してトップチームに上げるという明確なビジョンを示さなかった。
しかし、バルサは加入と同時に、
「いずれはトップチーム昇格させる」と公言した。
シティも決してスアレスの能力を評価していない訳ではなかった。

熱意と展望の明確さ、これが実現に大きく関与したのだった。
バルサの期待の大きさを物語る2017年までの4年契約。
そして19歳の選手にこの移籍金。

世界一とも言われるバルサスカウト陣が長年追い続けて来た選手とは・・
果たして一体どんな選手なのか。

スアレスはカセレス州で生まれ育ち、
セルタの下部組織でキャリアをスタートさせ、
当時からずば抜けた才能を遺憾なく発揮していた。

何と言っても突出すべきは世界有数のボールタッチの技術の素晴らしさだ。
まるでずっとバルサに所属していて、
メッシやシャビの技術を間近で観察していたかのような、
細やかで正確なボールタッチの数々。
そしてシュートの多様性。
距離によって蹴り方を変え、
FKの時のドライブシュートの軌道は息を飲む程美しい。
また、ドリブルの切れ味も一級品で、
コース選択の良さが際立って良い。
似た選手にシルバがいるが、右利きのシルバといった印象を受ける。
目の前の選手を抜いた後の判断も実にクレバーだ。
たとえ1対1の場面でも、抜いた先に十分なスペースがないと読むと、
そこから味方を使い最善の1手を仕掛ける戦術眼も若くして備えている。
類稀なテクニックが、自身のプレーの幅を無限に広げ、
結果、バルセロナという可能性の宝庫を更に広く分厚いものへと変貌させる。


バルサの中盤では、今までそれをシャビとイニエスタ、
そしてときにセスクが担ってきた。
しかしどんな天才的に世界的名手でもいずれ選手として引退の時が来る。
悲しいが、切ないが、仕方がない。
いかに有能な後継者にその魂を引き継げるか、
偉大な選手の最後の仕事はそこに凝縮する。
スアレスはその襷を受け取るに相応しい才能を持った選手だろう。
特にバルサが入れ込んだ理由も、ただ素晴らしい才能だからというだけではない。
バルサの哲学に合い、それを実現するに値する選手だと確信したからだ。
ただでさえ、バルサの中盤の選手というのは求められる水準は高い。
そしてカンテラに求められるそれも同様に高い。
それでも尚、自分達のクラブ以外から若手を買い育てる理由。
その答えはスアレス自身がトップチームに昇格する時に証明してくれるだろう。

個人的な予想では、
スアレスはシャビの後継者の位置づけでバルサに加入したと読む。
暫くはバルセロナBを主戦場とするが、
能力的にはトップチームでやってもまず問題ないとまで思っている。
シャビの存在にどこまでのものを学び、
そこにデニス・スアレス色を付け加えて、
バルサの歴史に名を刻める存在と成り得るか、非常に楽しみである。

デニス・スアレスという選手は、大成する。
これは多くのスペイン人特にバルセロニスタにとっては希望であり、
実現したら喜ばしい事なのかもしれない。

しかし、それは同時に、
シャビ・エルナンデスという偉大な選手が、
仕事を終え引退するという悲しい事実でもあるのだ。

■デニス・スアレス
スピード      |★★★★★★★★☆☆ 8
持久力      |★★★★★★★☆☆☆ 7
フィジカル   |★★★★★★★☆☆☆ 7
得点力     |★★★★★★★★★☆ 9
突破力     |★★★★★★★★★☆ 9
守備力     |★★★★★★☆☆☆☆ 6
創造性    |★★★★★★★★★★ 10
メンタル    |★★★★★★★★☆☆ 8
※ポテンシャル |★★★★★★★★★★ 10
伸びしろ     |★★★★★★★★★★ 10

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